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裏通り

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無題

 予想外の出来事に、予定を狂わされ、やるべきことができずに立ち往生。
 引っ越しに重なったので、体の疲れもとれずに耳が痛い。そういうときに、人に会わなければいけないのは、きつい。

 状況から解放されたくて、行き場もないまま道ばたで、電話をかける。
 
 話がしたい。
 毒を抜いてほしい。
 居心地が悪い飲み会とか、なんともしっくりこない人々と一日を過ごして、あてられた後とかに。

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この世には、どうにもこうにも、懐かしい人たちがいる。

そう昔から知っているわけでもないし、たまに会っても感慨もなく、一番の親友かと問われれば、「全くそんなことはない。」としか答えようがないくらい、疎遠と言えば疎遠なのに。

会っても会わなくても、言葉をかわせば、毒が抜ける。
それはたぶん、わかってもらえるからではなくて、お互いがお互いに似ていると心から信じているからだ。
友情でも愛情でもなく、それでも、荒野に仲間を見つけたと信じたがる人の欲望は強い。


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ずっと、内側に行きたかった。輪に入りたかった。ずっと。

外から見たら、おかしなところはないはず。フルメンバーシップを享受しているはず。

そう思ってやってきたけど、いつでも私は不協和音だ。
それは、他人との関係で生じるわけではなくて(そう思いたい)、自分のおなかの底から響く不調和。

この輪の中で安らいで、疑いもなく。
そういう風に、今この場所に染まることができない、ある種の病気。

それでも安楽なメンバーになろうともがく自分に、
こともなげに、仕方ないでしょ、と言ってほしい。

インサイドになんか入りたくもない、と腹の底から思える、勇敢な心の双子に。

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相手も、私と話して、少しは気がまぎれているといいんだけど。
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# by soleil-minuit | 2009-07-09 18:49

無題

ひさしぶりに銀座に出た。
話には聞いていたけれど、金曜なのに、確かに人が少ない。
不況の影響らしい。おかげで道も空く。

広い夜の、交差点を目指す。
風にあおられて、潮が匂った。

こんな街の中でも、南に向かって開けていくのがわかる。
昼の雑踏では、息が詰まるのに。

そういえば、生まれた街は海に近くて、街をわたる風が自由を教えていた。

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東京の夜は、すごく苦手で、大好きだ。
空虚さに、胸が詰まる。
あまりにがらんどうで、だらしなくて、ひとりぼっちな分だけやさしいのだ。

いつまでこんな風でいられるのかな?
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不意に香りたつような夜がある。

闇の中で、別の目が開くような。

だから、だらしなくても、夏が好き。

夏が好きだな。
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# by soleil-minuit | 2009-06-29 23:59

雨ふり

ぱたぱたと、音を立てる雨をくぐって、裏道を歩く。

不機嫌な空ならば、いっそ降ってくれた方がいい。

雨は嫌いだったはずなのだけど、案外と不機嫌も泣いてしまえば、いやに甘く。

ぱたぱたと、包まれている。

雨の日は、包まれている気がするのだ。部屋の中でも、道に濡れても、私も街も色増す緑も。

気前のよい天蓋。
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# by soleil-minuit | 2009-06-09 23:35

無題

雑居ビルの屋外階段から鼻の先に、マンションのすりガラスが並ぶ。
夜の社会人講座、合間に外気を吸いに出た。

暑くなったと思ったところで、昼間に触れた風はまだ5月のままで、日が落ちると涼しすぎた。

混み合った灯、ほど近い大通りにはさまれた窮屈な階段に、靴音を立てる。
涼やかでけだるい、夜の気配だけが漂う。
そこにあるのは、たぶん自由だった。
良くもなく、どちらかと言えばやっかいなもの、それでも欲しくてたまらないもの。
そういうわけだった。
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# by soleil-minuit | 2009-05-27 00:19

無題

 新緑のまぶしい坂をあがりきったところに、その建物はある。
 
 春には淡い花々に包まれた家路を臨むその場所で、きっと私とその家族の新しい数年間が、ささやかに始まるのだろう。

 東京に、来たばかりの自分を最近は常々思い出す。
 狭く白い箱に閉じ込められて、懸命に日々を過ごしていた自分。そのいたいたしい若さに、腹立たしく恥ずかしくなるけれども、今の自分がいるのもあなたのおかげだ。

 そして、あれから10年もたったというのに、また振り出しにもどってしまった現在を、若い自分に申し訳なくも思う。
 
 祈るような気持ちで、家族にとって居心地のいいねぐらを探し当てた私は、けれども、スタートラインにさえまだ立っていないのだった。
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# by soleil-minuit | 2009-05-15 19:44